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ブランドが顧客に思い出されない理由|企業の言葉と顧客の言葉の距離を測る

日経クロストレンド 連載「UGCと指名検索を増やすSNSの新常識」(2026年3月23日)にて、当社代表とホットリンクの増岡宏紀氏の対談が掲載されています。

思い出してもらうために広告や発信に投資しているのに、成果が伴わない。この状態の多くは、伝える量ではなく言葉の選び方に原因があります。企業が「こう思われたい」と決めた言葉と、顧客が日常で実際に使う言葉が離れているからです。その距離を測る方法を整理します。


この記事の要点


  • 想起の軸を決めていても、顧客が使う言葉と離れていれば発信は一方通行になります。

  • 企業が掲げる言葉は洗練される方向に寄るため、日常語との距離が開きやすくなります。

  • 顧客が自分の言葉として使えるかが、その言葉を採用する判断基準になります。

  • 距離を把握できない原因は情報の不足だけでなく、受け止められないことにもあります。


こんな方におすすめ


  • ブランドの発信を続けているが、顧客の反応が薄いと感じているご担当者の方

  • 想起の軸を定めたものの、現場の施策に落とし込めていない方

  • 顧客調査の結果が社内で受け入れられず、施策が動かない状況にある方


前提となる3つの用語

ソーシャルリスニングとは


ソーシャルリスニングとは、SNSなどに書かれた発言を集めて、顧客が自社や商品をどう語っているかを把握する手法である。調査で意見を尋ねる方法と違い、聞かれていない場面で自然に使われた言葉が集まる。企業が掲げる言葉との距離を測る材料になる。


想起集合とは


想起集合とは、顧客が何かを買おうとしたときに頭に浮かぶブランドの集まりである。この集合に入っていなければ、比較の対象にすらならない。入るかどうかを決めるのは知名度の高さだけでなく、その場面と結びついて思い出されるかどうかである。


顧客理解とは


顧客理解とは、顧客が何を求め、どう感じ、どんな言葉で語るのかを把握することである。属性や購買履歴の把握にとどまらず、選ぶ理由と語り方まで含む。ここが浅いままだと、発信の内容が企業側の希望を並べたものになりやすい。


論点の背景


ブランドの想起を高めたいという相談は多く、想起の軸そのものは設定されていることが少なくありません。問題はその軸が現場の施策で機能するかどうかが別の話だという点です。

企業が「こう思われたい」を決めるとき、言葉は洗練される方向に向かいます。抽象度が高く整った表現になり、当事者にとっては納得感があります。一方で顧客が日常で使うのは、もっと具体的で生活に根ざした言葉です。


「この両者の距離をどう縮めるかが、ブランド想起を高められるかどうかの分岐点になります」 出所:日経クロストレンド「UGCと指名検索を増やすSNSの新常識」(2026年3月23日)

距離が開いたままだと、発信は一方通行になります。整った言葉は顧客の口から出てこないため、口コミとしても再生産されません。結果として、投資した量に対して想起が積み上がらない状態になります。

もうひとつ厄介なのは、距離を把握できない原因が情報の不足だけではないことです。顧客の評価に触れる機会はあっても、それを受け止められないという場合があります。歴史のある企業や主力事業が強い企業では、自社への評価が想定より低いという情報を素直に受け入れにくい構造が働きます。


思い出してもらう場所も、顧客の目的によって変わります。「趣味・娯楽に関する情報を得る」ために最も利用するメディアは全年代でインターネットが70.8%、一方で「信頼できる情報を得る」ために最も利用するのはテレビが50.3%でした。同じ人が目的によって使う場所を変えているということです。 出典:総務省情報通信政策研究所「令和7年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」(2026年6月公表/13〜79歳・1,800人)

実務での判断軸


1.顧客がその言葉を自分の口で使うか。

決めた想起の軸を、顧客がSNSや会話で使う場面が想像できるかを確認します。使われる姿が浮かばない言葉は、社内の合意形成には役立っても、想起には働きません。

 

2.聞かれていない場面での言葉を集めているか。

調査で意見を尋ねると、顧客は答えを整えます。実際に使われている言葉を知るには、書き込みやレビューのように、聞かれずに発された言葉を集める必要があります。

 

3.都合の悪い評価を扱える体制があるか。

集めた言葉が想定より低い評価だった場合、それを議題に載せられるかどうかが分かれ目になります。顧客と接する機会が少ない層ほど、この情報を受け止めにくくなります。外部の視点を入れる価値は、多くの場合この一点にあります。


この3つのうち最も見落とされるのは1です。言葉を決める会議には顧客がいないため、社内で通る言葉が選ばれやすくなります。


編集部おすすめポイント


ブランド想起の解説は指標や施策の話に寄りがちですが、本編は言葉そのものに焦点を当てています。SNS支援の現場を持つ増岡氏との対談形式で、企業側の言葉が使われない具体的なパターンと、その背景にある社内の事情まで扱っています。発信の反応が薄い方には、原因の切り分けに使えます。


本編で読めること


本編では、次の問いに対する答えが具体的に示されています。


  • 企業の言葉と顧客の言葉に距離が生まれるパターンは、どのように分類できるのか

  • コンセプトを1つにまとめる作業で、何が失われるのか

  • 顧客の評価を受け止められない企業には、どのような共通点があるのか

  • 外部の支援者だから踏み込める領域は、どこにあるのか


この対談には後編があり、決めた言葉をSNSでどう届けるかを扱っています。


よくある質問


Q. 洗練された言葉を掲げるのは間違いなのですか。

A. 社内で方向性を共有する用途では有効です。問題は、その言葉をそのまま顧客への発信に使うことです。用途を分けて、顧客に向けては日常語に翻訳した表現を用意する形になります。

 

Q. 顧客の言葉を集める方法として、調査では不十分ですか。

A. 補完的には有効です。ただし調査では質問に対して答えを整えるため、日常で使う表現が出にくくなります。聞かれずに発された言葉を集める手段を併用する必要があります。

 

Q. コンセプトを複数持つと、一貫性が崩れませんか。

A. 崩れるかどうかは伝える相手と場面を分けているかで決まります。1つに集約すると受け取り方の多様性が失われるため、核を保ちながら表現の幅を持たせる設計が現実的です。


インサイトフォース山口の、「悪魔の事典」


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執筆者

インサイトフォース編集部

ブランド戦略とマーケティング組織の設計を専門とするコンサルティングファームです。事業戦略とブランドを接続する支援を中心に、経営層、事業部門、マーケティング部門の橋渡しを担ってきました。本記事は、当社代表が登壇した対談記事をもとに、編集部が要点と判断材料を整理したものです。

掲載情報

媒体

日経クロストレンド

連載

UGCと指名検索を増やすSNSの新常識

公開日

2026年3月23日

掲載形式

対談

対談相手

ホットリンク 増岡宏紀氏


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