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BtoBで価格の主導権を握る条件|ソートリーダーシップが効く3つの場面

ダイヤモンド・オンラインにて、当社代表取締役・山口義宏が聞き手を務め、法人向けの広告事業を率いてきた経営者に、価格設定と投資判断の考え方を聞いています。

同じものを売っていても、値引きを求められる企業と、買わせてくださいと言われる企業があります。この差は営業の力量ではなく、売る前にどういう立ち位置を築けているかで決まっています。


この記事の要点


  • 価格の主導権は、交渉の技術ではなく売る前の立ち位置の設計で決まります。

  • 業界の考え方をこちらが示せている状態は、値決めの前提を有利にします。

  • 供給を絞る判断は、短期の収益を捨てて希少性を保つための投資にあたります。

  • 扱う相手を選ばずに広げると、いったん下がった格は戻りにくくなります。


こんな方におすすめ


  • 値引き要請が常態化しており、そこから抜ける道筋を探している法人営業の方

  • 自社の提供価値を価格にどう反映させるか決めきれていない事業責任者の方

  • 広告や掲載の枠を販売しており、枠の価値をどう保つか考えている方


前提となる3つの用語

プライシングとは


プライシングとは、商品やサービスの価格を決める行為とその設計のことである。原価に利益を乗せる考え方のほかに、買う側が得る価値から逆算する考え方があり、どちらを採るかで交渉の前提が大きく変わる。


マネタイズとは


マネタイズとは、利用者を集めた事業や資産から収益を得る仕組みをつくることである。早く収益化するほど資金の面では楽になるが、何を載せるかを選ばずに進めると、その場の性質そのものが損なわれる場合がある。


利益率とは


利益率とは、売上に対してどれだけの利益が残るかを示す割合である。値引きは売上よりも利益率に強く効くため、同じ金額の値引きでも、事業の体力に与える影響は売上の減少より大きくなることが多い。


論点の背景


法人向けの取引では、買う側が複数の候補を並べて比較することが前提になっています。同じ条件で並べられれば、差がつくのは価格だけです。この構図の中で価格を守ろうとすると、営業の現場に無理がかかります。

 

この掲載で聞き手が引き出しているのは、比較される土俵に乗る前の設計です。業界の考え方をこちらから示している状態をつくれていれば、候補の一つではなく、判断の基準を持っている側として扱われます。

 

もう一つの論点は、載せるものを選ぶ判断です。収益化を急いで扱う相手を広げると、その場に対する評価が下がります。いったん下がった評価のもとでは、本来来てほしかった相手が戻ってこなくなります。評価を取り戻すには、下げるのにかかった時間よりも長い時間が必要になります。


2025年の日本の総広告費は8兆623億円で、このうちインターネット広告費は4兆459億円と全体の50.2パーセントを占めています。出稿先の選択肢が広がるほど、個々の枠が比較にさらされる度合いも高まっています。 出典:電通「2025年 日本の広告費」(2026年3月5日)

実務での判断軸


1.比較される前に、判断の基準を示せているか。 候補として並べられた時点で、差がつくのは価格だけになります。業界の論点をこちらから提示し、何を基準に選ぶべきかを示せている状態をつくれるかどうかが分かれ目です。

 

2.供給を絞る判断を、意図して行っているか。 出せる量をすべて出すと、希少性は消えます。枠の数を意図して制限することは、その期間の収益を捨てる判断であり、価値を保つための投資として評価する必要があります。

 

3.扱う相手を選ぶ基準を持っているか。 収益化を急いで相手を広げると、その場の評価が下がります。一度下がった評価は容易には戻りません。断ることで失う金額と、受けることで失う将来の取引を並べて判断してください。


3つとも、短期の収益を意図して手放す判断を含みます。手放した分が将来どう戻るかは事前には測れません。測れないことを承知で決める領域だからこそ、判断の基準を先に決めておく必要があります。


編集部おすすめポイント


この掲載は、法人向けの事業を数多く率いてきた経営者から価格と投資の考え方を引き出した対談です。成功事例の紹介ではなく、うまくいかなかった局面の話も含めて語られている点に価値があります。自社が価格で消耗している理由を特定する材料として読めます。


悪魔の事典


書き出し


本編で読めること


ここでご紹介したのは、判断の枠組みにあたる部分です。本編では、次の問いに対する答えが示されています。


  • 業界の考え方を示す立ち位置は、どうやって築いていくのか

  • 供給を絞る判断は、どの段階で始めるのが適切なのか

  • 扱う相手を選ぶ基準は、社内でどう合意するのか

  • 評価が下がってしまった場合、立て直しには何が必要になるのか


本編はダイヤモンド・オンラインで公開されており、対談の前編もあわせて読めます。


よくある質問


Q.値引き要請を断ると、取引そのものを失いそうです。

A.断ることで失う金額と、受けることで将来失う取引を並べて判断してください。値引きは売上よりも利益率に強く効きます。一社に応じた条件は他社にも知られるため、影響はその取引の中に留まりません。

 

Q.ソートリーダーシップは、発信量を増やせば築けますか。

A.量だけでは築けません。示しているのが自社の宣伝なのか、買う側が判断に使える基準なのかで結果が変わります。商談が価格の話から始まる状態が続いているなら、立ち位置はまだ動いていません。

 

Q.供給を絞ると、当面の収益計画が達成できません。

A.そのとおりで、短期の収益を手放す判断になります。手放した分がいつ戻るかは事前には測れません。だからこそ、どこまでなら手放せるかを先に決めておく必要があります。


執筆者

インサイトフォース編集部

ブランド戦略とマーケティング組織の設計を専門とする編集部が、掲載記事の論点を実務で使える形に整理しています。

掲載情報

媒体

ダイヤモンド・オンライン

記事

成功する営業マンだけが知っているプライシングと投資の極意

掲載形式

対談の後編(当社代表が聞き手)

公開範囲

一部有料


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