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AI時代にKPI設計力の差が開く理由|KGIを分解する前に決めること

日経クロストレンド(2026年5月13日)にて、office K代表取締役の田岡敬氏と当社代表による対談が掲載されています。

分析やレポート作成の工数は、AIの導入で確かに減ります。しかし工数が減った先で何をするかが決まっていなければ、成果は変わりません。KPI管理の目的をどこに置くか、そしてその目的が成立する組織の条件を整理します。


この記事の要点


  • KPI管理の目的は着地点を当てることではなく、リソースを組み替える判断を下すことにあります。

  • 分析が自動化されるほど、人が担うのは後工程の意思決定に絞られていきます。

  • KPIの設計が甘い組織がAIを導入しても、誤った判断が拡大する方向に働きます。

  • 先行指標と結果指標を区別できているかが、判断の質を左右します。


こんな方におすすめ

  • KPIを設定して運用しているが、KGIが動いている実感が持てない方

  • AIの活用を進めたものの、業務効率化の先が描けていない責任者の方

  • ブランド関連の指標を四半期ごとに追っていて、変化が出ないことに悩んでいる方


前提となる3つの用語

KGIとKPIと


KGIとは重要目標達成指標で、事業として最終的に到達したい成果を示す。KPIとは重要業績評価指標で、その成果に至るまでの過程を分解した指標である。分解の手順そのものは公開された方法論が多く、難所は分解の先にある。どの指標にリソースを寄せるかを決める部分である。


限界利益とは


限界利益とは、売上高から変動費を差し引いた利益である。1つ売れるごとにいくら残るかを示すため、追加の投資判断に適している。営業利益率で議論すると固定費が配賦され、投資に見合わないという結論になりやすい。投資の可否を判断する場面では、こちらの概念が必要になる。


マーケティングファネルとは


マーケティングファネルとは、認知から購入に至るまでの顧客の絞り込まれ方を段階で表した考え方である。上流から下流に進むにつれて人数は減るが、次の段階に進む確率は上がる。この基本構造を理解しておくと、提示された数値が妥当な水準かどうかを判断できる。


論点の背景


KPI管理を続けていれば、着地点の予測精度は上がります。しかし予測精度が上がること自体は目的ではありません。目的は着地点を伸ばすことであり、そのためには伸びない指標からリソースを引き上げ、伸びる指標に振り直す判断が必要になります。

この判断だけが人の仕事として残る、というのが対談の起点です。検知、分析、レポート作成といった前工程は自動化が進むため、空いた時間を後工程の意思決定に移せるかどうかが分かれ目になります。

ただし現状は二極化しています。当社代表は本編で、次のように述べています。

「名だたる大企業でも、AI活用うんぬんの前にそもそもKPIの設計自体が怪しい会社はまだまだあります」 出所:日経クロストレンド(2026年5月13日)

この差は国の調査にも表れています。生成AIの活用方針を定めている日本企業は49.7パーセント(2023年度調査は42.7パーセント)で、他国と比べると引き続き低い傾向です。導入にあたっての懸念で最も多いのは「効果的な活用方法がわからない」でした。技術の難しさではなく、使いどころを決められないことが中心にあります。 出典:総務省「令和7年版 情報通信白書」

広告投資と売上の連動性が高い事業では、KPIの設計もAIの活用も進んでいます。一方で卸や流通が介在する事業、最後に営業担当者が動いて売る事業では連動性が下がり、AI活用の手前で止まります。


実務での判断軸

1.期中にリソースを組み替えられるか。

KPI管理が成果につながるかどうかは、この一点にかかっています。期初に予算と人員が固定され、途中で違うと気づいても変更できない体制では、指標をいくら精緻に管理してもKGIは動きません。管理の精度を上げる前に、組み替えの余地があるかを確認します。


2.先行指標と結果指標を分けているか。

ブランドに関する指標は、過去の顧客体験が積み上がった結果として現れるため、遅れて動きます。それを四半期ごとに進捗として追い、数字を見つめているだけの運用になっていないかを点検します。遅れて動く指標には、低コストで試せる施策を数多く当てて検証するほうが機能します。


3.数値の相場観を持つ人がいるか。

提示された数字が桁の水準としておかしいと気づけるかどうかは、判断の前提になります。ファネルの上流から下流に向かって確率が上がるという基本構造を踏まえたうえで、自社の事業規模と対象顧客の広さに見合う投資水準を見積められる人を関与させます。


編集部おすすめポイント

KGIをKPIに分解する方法論は広く流通していますが、分解した先の運用に踏み込んだ議論は限られます。本編はKPI管理が機能する組織の条件と、経営層に投資を認めてもらうための説明の型まで具体的に扱っています。KPIを整えたのに成果が動かないという段階の方には、原因の切り分けに使えます。


本編で読めること

本編では、次の問いに対する答えが具体的に示されています。


  • 期中の予算変更をしやすくするために、予算のどの部分をどう確保しておくのか

  • 施策の失敗を前提とした期待値の調整を、経営陣とどう握っておくのか

  • LTVを損益計算書に結びつけるうえで、期をまたぐ構造をどう扱うのか

  • 成功と失敗の幅を経営層に示すために、どのような形式が使われているのか


マーケティング投資の説明については、当社代表による別の寄稿でも扱っています。あわせてお読みいただくと、指標の設計と説明の型が揃います。


よくある質問


Q. AIを導入すればKPI管理は改善しますか。

A. 設計が整っている組織では、分析の工数が減って判断に時間を回せるようになります。一方で設計が甘いままでは、誤った判断も同じ速度で拡大します。導入の前に、どの指標を動かしたいのかを決めておく必要があります。

 

Q. ブランド関連の指標は、どのくらいの頻度で見るべきですか。

A. 遅れて動く性質があるため、四半期ごとの進捗管理には向きません。頻度を上げるより、低コストで試せる施策を積み重ね、効いたものにリソースを寄せる運用のほうが機能します。

 

Q. 期中の予算変更が難しい組織では、何から始められますか。

A. 全体の枠組みを変える前に、使途を決めない予算をあらかじめ一定割合確保する方法があります。社内調整を待たずに動かせる資金を持つことで、判断から実行までの速度を上げられます。


インサイトフォース山口の、「悪魔の事典」


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執筆者

インサイトフォース編集部

ブランド戦略とマーケティング組織の設計を専門とするコンサルティングファームです。事業戦略とブランドを接続する支援を中心に、経営層、事業部門、マーケティング部門の橋渡しを担ってきました。本記事は、当社代表が登壇した対談記事をもとに、編集部が要点と判断材料を整理したものです。

掲載情報

媒体

日経クロストレンド

公開日

2026年5月13日

掲載形式

対談

対談相手

office K 代表取締役 田岡敬氏

読了時間

約14分(媒体表記)


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