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顧客価値は機能では伝わらない|効果実感を設計する3つの視点

日経クロストレンドの連載にて、当社代表取締役・山口義宏による寄稿記事「『商品は良いが売れない』を変える 効果実感を引き出す3つの仕掛け」が掲載されています。

機能を高めたのに評価が上がらない。この状態は品質の問題ではなく、顧客が効果を確認できないまま時間が過ぎていることから起きます。効果が見えない期間が続くと、満足は疑いに変わります。


この記事の要点


  • 顧客価値は機能の水準ではなく、顧客が効果を確認できたかどうかで決まります。

  • 効果が見えない商品は、時間とともに「本当に効いているのか」という疑いに変わります。

  • 効果の見せ方は、物理的に示す、稼働を知らせる、比較で想像させるの3通りに整理できます。

  • 顧客は使い続けるほど慣れるため、実感は放置すると必ず薄れていきます。


こんな方におすすめ


  • 機能面の評価は高いのに、継続購入や再指名につながらないと感じている商品担当の方

  • 顧客満足度の調査結果が、実際の解約率や購入頻度と合わないと感じている方

  • 効果が目に見えないサービスを扱っていて、価値の伝え方に悩んでいる方


前提となる3つの用語


ユーザー体験とは


ユーザー体験とは、顧客が商品やサービスに触れる過程で受け取る認識の全体である。画面や操作の使いやすさに限らず、購入前の期待、使用中の手応え、使い終えた後の印象までを含む。機能の仕様が同じでも、この受け取り方が変わると評価は変わる。


体験設計とは


体験設計とは、顧客が何をどの順番で感じ取るかを意図して組み立てることである。効果を実感する場面を偶然に任せず、商品そのものや売り場、使用後の連絡といった接点のどこで気づいてもらうかを先に決める考え方を指す。


ブランドスイッチとは


ブランドスイッチとは、顧客がそれまで使っていたブランドから別のブランドへ乗り換えることである。大きな不満がなくても、効果を感じられない状態が続くと選ぶ理由が薄れて起きる。不満の申告がないまま進むため、把握が遅れやすい。


論点の背景


顧客が価値を判断する場面は、購入時ではなく使用中に置かれています。そして使用中に判断材料が渡されないと、顧客は自分の記憶と気分で評価を組み立てます。機能の水準が高いことと、顧客がそれを確認できることは別の問題です。

 

この差が問題になりやすいのは、効果が身体の外に現れない商品です。空気の状態、エンジン内部の汚れ、組織の変化などは、日常のなかで確かめる手段がありません。確かめられない期間が続くほど、顧客のなかでは「効いているのか」という問いが育ちます。

 

購入の場が広がっていることも、この問題を大きくしています。対面で説明を受けずに買う経路が増えると、価値を伝える機会は購入前に限られなくなり、使用中の実感が次の購入を決める比重が上がります。


2024年の国内のBtoC電子商取引の市場規模は26.1兆円で、前年の24.8兆円から5.1パーセント増えています。一方でEC化率は9.8パーセントにとどまり、購入経路が分散した状態が続いています。 出典:経済産業省「令和6年度 電子商取引に関する市場調査」(2025年8月26日)

実務での判断軸


1.効果を物理的に見せられる形にしているか。 使用の結果が目に見える商品は、顧客が自分で効果を確認できます。取れた汚れ、たまった水、施術前後の比較など、成果を物として提示できないかを先に検討します。見せられる余地があるなら、これが最も強い手段になります。

 

2.稼働中であることのシグナルを出しているか。 効果そのものを見せられない場合は、機能が働いている瞬間を知らせる方法が残ります。点灯や音のような合図に限らず、進捗の報告を定期的に送ることも同じ働きをします。沈黙している商品やサービスは、顧客体験の面で不利になります。

 

3.慣れによる実感の減衰を測っているか。 顧客は使い続けるほど効果に慣れ、当たり前になった時点で選ぶ理由を失います。初回の満足度ではなく、購入回数を重ねた層の実感がどこで落ちるかを見ておくと、打ち手を入れる時期を判断できます。


3つの視点は順番に検討します。物理的に見せられるならそれを選び、できない場合に稼働のシグナル、それも難しい場合に比較による想像へ移ります。そのうえで、慣れによる減衰を測る仕組みを別に持ちます。


編集部おすすめポイント


効果を実感させる工夫は、成功事例として語られるときには商品の魅力として説明されがちです。本編では、その工夫がどのような意図で選ばれたのかを、複数の業種の例を並べて解説しています。自社の商品に当てはめて点検するための順序が示されている点が実務向きです。


本編の続きで読めること


ここでご紹介したのは、判断の枠組みにあたる部分です。本編では、次の問いに対する答えが示されています。


  • 効果を直接見せられない商品では、どこに実感の手がかりを置くのか

  • 稼働を知らせる合図は、どの程度の頻度で出すと機能するのか

  • 比較によって成果を想像させる場合、どの接点で提示すると効くのか

  • 慣れによって実感が薄れた顧客は、どの段階で離反に向かうのか


本編は日経クロストレンドの有料会員限定記事です。読了時間は約6分と表記されています。


よくある質問

Q.効果実感の設計は、商品そのものを変えないとできないのでしょうか。

A.商品への実装だけが手段ではありません。売り場の掲示、購入後の報告、販売員の説明といった接点でも、効果を感じられる形に置き換えることができます。先に商品の改造を検討すると着手が遅れるため、既存の接点から見直すほうが早く動けます。

 

Q.顧客満足度の調査では高い評価が出ています。それでも点検は必要でしょうか。

A.必要です。満足度の調査は、回答した時点で言葉にできる評価を集めるものです。効果を確認できないまま選ぶ理由が薄れていく過程は、不満として言語化されないまま進みます。購入頻度や継続率の推移と合わせて見ることをおすすめします。

 

Q.BtoBのサービスでも同じ考え方が使えますか。

A.使えます。稼働や進捗をこまめに連絡する運用は、効果が見えにくいサービスで働いていることを伝える手段として機能します。成果を定量化した報告を一定の周期で提示する方法も、比較による実感づくりに当たります。


悪魔の事典


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執筆者

インサイトフォース編集部

ブランド戦略とマーケティング組織の設計を専門とする編集部が、掲載記事の論点を実務で使える形に整理しています。

掲載情報

媒体

日経クロストレンド

記事

「商品は良いが売れない」を変える 効果実感を引き出す3つの仕掛け

公開日

2026年3月4日

掲載形式

寄稿

公開範囲

日経クロストレンド有料会員限定

読了時間

約6分(媒体表記)


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