内製と外注の線引き|アウトソーシングを自社の力に変える3つの基準
Agenda noteにて、当社代表取締役・山口義宏が、化粧品事業会社の取締役を聞き手に、マーケティング領域の外部委託が広がっている背景と、内製と外注の切り分け方を語っています。
外に任せた仕事が、数年たっても社内に何も残っていない。この状態は委託先の質ではなく、出すときの決め方から生まれています。何を外に出し、何を残すのかを先に決めるための基準を整理しました。
この記事の要点
頭を使う戦略の部分は、本来は社内に置いたほうが強くなります。
外に出しやすいのは、手順が標準化された作業の領域です。
外注の失敗は品質よりも、委託先の選定のずれから起きています。
できることとできないことを明言する相手のほうが、成果は読めます。
こんな方におすすめ
外部に委託した領域のノウハウが、社内に蓄積されていないと感じている方
どこまでを自社で担い、どこから任せるかの線を引き直したい事業責任者の方
委託先の選定で何を見るべきか、判断の基準を持っておきたい方
前提となる3つの用語
バリュープロポジションとは
バリュープロポジションとは、顧客が求めていて、競合が提供できておらず、自社が提供できる価値の重なりのことである。何を強みとして打ち出すかを決める際の土台になる。
業務委託とは
業務委託とは、雇用ではなく契約に基づいて特定の業務を外部へ任せる形態のことである。指揮命令を伴わないため、成果物や業務範囲を契約で定めておく必要がある。
ストックオプションとは
ストックオプションとは、あらかじめ決めた価格で自社株式を取得できる権利のことである。現金報酬の代わりに外部の専門人材へ渡し、中長期の成果と報酬を結び付ける手段として使われることがある。
論点の背景
マーケティングの業務を外部へ任せる動きが広がっています。背景にあるのは人材の流動性が高まったことで、社内に知見がある会社とない会社の差が開いたことです。
ただし理想を言えば、頭を使う戦略の部分は社内に置いたほうが強くなります。外部が担っている領域は、本来なら自社 でやるべきところです。同じ会社が支援を受け続ける状態は、健全とは言えません。
外に出しやすいのは、手順が標準化された作業の領域です。とはいえ自分で手を動かしたからこそ良い指示が出せる領域も多く、最初は任せつつ、数年後に社内へ巻き取る前提で出す判断が要ります。
任せきりにしたい担当者と、まるごと預かったほうが長く稼げる委託先の利害は一致しやすく、放っておくと固定化します。これは経営が担当者へ不信感を抱く原因にもなります。
選ぶ段階にも目安があります。すべての領域に通じた専門家は いないため、何ができて何ができないのかを先に言う相手のほうが、要件に合う仕事を選ぼうとしている分だけ結果が読めます。
総務省統計局の調査では、本業がフリーランスである人は209万人で、有業者に占める割合は3.1パーセントです。産業別では学術研究、専門・技術サービス業が13.5パーセントで最も高くなっています。 出典:総務省統計局「令和4年就業構造基本調査 結果の概要」(2023年7月21日公表)
実務での判断軸
1.出す前に、いつ巻き取るのかを決めているか。 外注の窓口になる社員が何を吸収するのかを、契約の時点で言葉にしてください。数年後に社内へ戻す前提があるかどうかで、同じ委託でも残るものがまったく変わります。
2.委託先の専門性が、自社の要件と重なっているか。 すべてを一社で担える相手はいません。失敗の多くは品質ではなく、要件と専門性がずれたまま始まることから起きます。何ができないかを先に聞いてください。
3.内製にする領域を、事業の形から決めているか。 制作の内製化は、扱うブランドが一つで調子が変わらない場合には効きます。一方、性格の違う複数の事業を抱えるほど、社内に抱えることが制約になります。つくり手と表現の相性が成果を左右する領域なので、都度いちばん合う相手と組めるほうが結果は安定します。
3つに共通するのは、外注を費用ではなく期限つきの学習として見る姿勢です。安く早く回すことだけを基準にすると、数年後に残るものがなくなります。任せる判断と同時に、回収の期限を決めてください。期限を決めない委託は、数年後に選び直す力ごと失わせます。
編集部おすすめポイント
この掲載は、外部委託を検討している段階で読むと役に立ちます。支援する側から見た市場の構造と、任せ方の良し悪しが率直に語られているため、自社が委託先に何を求めているのかを言葉にする手がかりになります。任せる範囲を広げるほど楽になる一方で、数年後に何が社内へ残るのかは狭まっていきます。
悪魔の事典
書き出し
本編で読めること
ここでご紹介したのは、判断の枠組みにあたる部分です。本編では、次の問いに対する答えが示されています。
戦略と施策のどこに、内製と外注の線を引いているのか
外注先を選ぶとき、何を見て専門性を判断するのか
制作やデザインの内製化で、注意すべき点はどこにあるのか
外部の専門人材を迎える契約の形は、どう広がっているのか
本編はAgenda noteで公開されています。無料で読めます。
よくある質問
Q.戦略まで外部に任せてはいけないのでしょうか。
A.始まりとして任せることに問題はありません。問題になるのは、同じ相手に任せ続ける状態が固定化することです。判断の基準が社内に移っていくかどうかを、途中で確かめてください。
Q.委託先を選ぶとき、何を見ればよいでしょうか。
A.できないことをはっきり言う相手かどうかが一つの目安です。自社の守備範囲を把握している相手は、要件に合う仕事を選ぼうとします。すべて対応できるという説明ほど、後 で負担が戻ってきます。
Q.制作は内製にしたほうが安く済みますか。
A.扱うブランドが一つで調子を変えない場合は合います。性格の違う事業を複数抱えているなら、都度外部と組んだほうが成果は安定します。
執筆者
インサイトフォース編集部 | ブランド戦略とマーケティング組織の設計を専門とする編集部が、掲載記事の論点を実務で使える形に整理しています。 |
掲載情報
媒体 | Agenda note |
記事 | ストックオプションも提供。「外注・プロ化」が進むブランドマーケティングの現在 |
掲載形式 | インタビュー(当社代表が語り手) |
公開範囲 | 無料 |
