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体験価値はなぜ積み上がらないのか|非対面でも選ばれるブランドの3条件

ITmediaマーケティングにて、当社代表取締役・山口義宏が、SNSマーケティングを専門とする事業会社の役員を聞き手に、ブランドとは何か、非対面の環境で何が変わったのかを語っています。前編です。

接点の数を増やしているのに、ブランドとして覚えてもらえない。この状態は、接点ごとに与えている印象がそろっていないときに起きます。何がそろっていれば記憶に残るのかを、判断の順序として整理しました。


この記事の要点


  • ブランドは、識別できる記号と、積み重なった体験価値が結び付いたときに成立します。

  • 10回接点を持っても印象がばらけていれば、記憶には何も残りません。

  • 対面で会えない場面が増えると、商談に入る前の信頼を接点側でつくる必要が出ます。

  • 発信する場を持っているかではなく、そこで何が積み上がっているかが差になります。


こんな方におすすめ


  • 発信の量を増やしているのに、ブランドとして覚えられていないと感じている方

  • 非対面の商談が増え、知名度の低さが不利に働いていると感じている法人営業の方

  • 自社のブランドの定義を社内で説明できる言葉にしたいマーケティング担当の方


前提となる3つの用語

体験価値とは


体験価値とは、商品を使ったとき、口コミを見たとき、広告に触れたときなど、買う側が重ねた体験の蓄積によって生まれる価値のことである。一度の接触では生まれず、回数を重ねて初めて形になる点が、機能や価格の価値と異なる。


オウンドメディアとは


オウンドメディアとは、自社が保有して発信するメディアのことである。自社サイトやブログのほか、広い意味では公式アカウントの投稿も含まれる。掲載する内容を自社で決められる一方、読まれる理由を自前でつくる必要がある。


非対面とは


非対面とは、売り手と買い手が同じ場所に居合わせずに取引や商談が進む形態のことである。直接会って人として信頼を得る機会がないため、会う前の段階でどれだけ知られ、信頼されているかが成否を左右しやすくなる。


論点の背景


ブランドという言葉は、印象や好感といった曖昧な意味で使われがちです。ただし実務で扱うなら、何と何が組み合わさった状態を指すのかを決めておく必要があります。そうでなければ、できているかどうかを誰も判定できません。

 

この掲載で示されているのは、識別できる記号と、積み重なった体験価値が結び付いたものがブランドである、という捉え方です。記号は見た目に限りません。音や匂いなど、五感でその企業だと分かるものが含まれます。

 

この定義を採ると、一貫性が必要な理由が説明できます。体験は回数を重ねて初めて価値になるため、接点ごとに想起される像が違えば、何回触れても蓄積が起きません。

 

対面で会えない場面が増えたことも、この論点を押し上げています。直接会う商談は、売り込みの前に人として信頼を得る場でもありました。その機会が減ると、会う前の段階で信頼が成立しているかどうかが効いてきます。


総務省の調査では、自社のホームページを開設している企業は93.2パーセントで、前年から0.2ポイント上昇しています。発信する場を持っているかどうかでは、もう差がつきません。 出典:総務省「令和6年 通信利用動向調査報告書(企業編)」(2025年5月30日公表)

実務での判断軸


1.接点ごとに想起される像がそろっているか。 広告、自社サイト、営業資料、問い合わせ対応で、伝わる人格がばらけていないかを確かめてください。体験は回数で積み上がるものなので、ばらけているほど接点を増やすことが蓄積ではなく打ち消しになります。

 

2.五感で識別できる記号を持っているか。 名前とロゴだけが記号ではありません。音や色の使い方、文章の調子など、見なくても分かるものを持てているかどうかで、同じ体験量でも定着の速さが変わります。

 

3.商談に入る前に、信頼が成立しているか。 会って説明すれば伝わる、という前提が使えない場面が増えています。問い合わせが来た時点で何を知られている状態にしたいのかを決め、そこから逆算して発信する内容を選んでください。


3つに共通するのは、量ではなく揃っているかを見る姿勢です。接点の数を増やす判断は決裁が通りやすく、揃える判断は後回しになりがちです。ただし積み上がるかどうかを決めているのは、後者のほうです。


編集部おすすめポイント


この掲載は、ブランドの定義そのものから順に話が進む点が特徴です。施策の紹介ではなく、何が成立したらブランドと呼べるのかを先に置いているため、自社の取り組みが蓄積につながっているかを判定する物差しとして使えます。


悪魔の事典


書き出し


本編で読めること


ここでご紹介したのは、判断の枠組みにあたる部分です。本編では、次の問いに対する答えが示されています。


  • 記号と体験価値は、具体的にどう結び付いていくのか

  • 非対面の環境で信頼を積むコンテンツとは、何を指すのか

  • 知名度が低い企業でも優位に立てる場面はどこにあるのか

  • お客さまとの接点のうち、どこまでをブランディングの接点と考えるのか


本編はITmediaマーケティングで公開されています。無料で読めますが、途中から会員登録またはログインが必要です。


よくある質問


Q.接点を増やせばブランドは強くなりますか。

A.接点ごとに想起される像がそろっていることが前提になります。印象がばらけたまま数だけ増やすと、体験が打ち消し合って蓄積が起きません。増やす前に、揃っているかを確かめてください。

 

Q.記号とは、ロゴのことだと考えてよいでしょうか。

A.ロゴは分かりやすい例のひとつです。視覚に限らず、音や匂いなど五感でその企業だと識別できるものが記号にあたります。見なくても分かるものを持てているかどうかで、定着の速さが変わります。

 

Q.知名度が低いと、非対面ではやはり不利でしょうか。

A.会う前に信頼を得る手段を持っていなければ不利になります。ただし全国的な知名度が要るわけではありません。自社の商いが成り立つ範囲で知られていれば足ります。


執筆者

インサイトフォース編集部

ブランド戦略とマーケティング組織の設計を専門とする編集部が、掲載記事の論点を実務で使える形に整理しています。

掲載情報

媒体

ITmediaマーケティング

記事

山口義宏×いいたかゆうた コロナ後の世界でブランディングが重要性を増す理由

掲載形式

対談の前編(当社代表が語り手)

公開範囲

無料(途中から会員登録が必要)


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