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プロダクトアウトの組織でマーケットインは回らない|組織を変える前に見るもの

日経クロストレンドの特集「最強のマーケ組織」にて、当社代表取締役・山口義宏がマーケターの育成の観点からコメントしています。

現場はマーケットインで仕事をしたいのに、組織と意思決定の様式がプロダクトアウトのまま。この食い違いが残っていると、組織図を書き換えても成果は変わりません。


この記事の要点


  • 組織改編に共通するのは、商品中心から顧客中心へ軸足を移す姿勢です。

  • 組織を分けても意思決定の様式が変わらなければ、現場の食い違いは残ります。

  • うまく回っていた部署を解消して事業横断の体制に組み替える判断も出ています。

  • 環境を変える前に、自分のスキルの保有状況を可視化して不足を自覚する必要があります。


こんな方におすすめ


  • マーケティング組織の改編を検討していて、何から手を付けるか迷っている経営層の方

  • 組織を分けたのに顧客起点の判断が進まないと感じている部門責任者の方

  • 今の環境では成長できないと感じていて、転職を検討しているマーケターの方


前提となる3つの用語


パーセプションとは


パーセプションとは、顧客がそのブランドや商品について実際に持っている認識である。企業が伝えたい内容とは一致しないことが多く、顧客中心の判断を組織に入れるときは、この実際の認識を起点に置く必要がある。


ジョブ型とは


ジョブ型とは、職務の内容を先に定義して、それに人を割り当てる雇用と人事の考え方である。求められる役割が明示されるため、本人が何のスキルを備えていて何が足りないかを判定しやすくなる特徴がある。


プロダクトアウトとは


プロダクトアウトとは、自社が作れる商品や技術を起点として企画を進める考え方である。顧客の求めるものを起点とするマーケットインと対置され、組織の意思決定の様式としてどちらに寄っているかが行動を左右する。


論点の背景


マーケティングに定評のある企業が、相次いで組織の改編に踏み切っています。商品軸で個々の担当者が最適解を探す縦割りの形から、顧客データの解析と商品開発、コミュニケーションの設計を一体で扱う体制へ移す動きが目立ちます。

 

横串で眺めたときに浮かび上がる共通点は、商品やサービス中心から顧客中心へ明確に軸足を移す姿勢です。顧客を創造することの重要性は共通認識として広がっていますが、組織としてそれを第一に推進する体制になっているかは別の問題でした。

 

うまく回っていた部署をあえて解消する判断も出ています。特定のカテゴリーに限定されていた新規の企画機能を、事業を横断して価値を作る体制へ組み替える動きです。成功体験の延長線上に留まらないという判断が、この改編の性格を示しています。


日本マーケティング協会は2024年1月25日、マーケティングの定義を34年ぶりに刷新しました。新しい定義は「顧客や社会と共に価値を創造し、その価値を広く浸透させることによって、ステークホルダーとの関係性を醸成し、より豊かで持続可能な社会を実現するための構想でありプロセスである」とされています。 出典:日本マーケティング協会「34年振りにマーケティングの定義を刷新」(2024年1月25日)

実務での判断軸


1.意思決定の様式がプロダクトアウトのままになっていないか。 現場が顧客起点で仕事をしたいのに、企画の通し方や承認の順序が商品起点のままであれば、担当者の意欲は障壁に当たります。組織図を書き換える前に、何をもって企画が通るのかを確かめる必要があります。

 

2.組織を分けたことで顧客起点が切れていないか。 機能ごとに部署を分けると管理はしやすくなりますが、顧客に届くまでの流れは分断されます。開発から生産、伝え方までを俯瞰して全体で判断できる担い手をどこに置くかを決めておかないと、分割は逆に働きます。

 

3.スキルの保有状況を可視化して不足を自覚できる状態か。 マーケターに求められる範囲は広い一方で、分類と内容の理解が粗いままだと、1つの領域を数年で習熟した時点で成長が止まったと感じてしまいます。保有状況を見える形にして、不足を本人が自覚できる助言の仕組みが必要になります。


環境を変える判断は、この3点を確かめた後に置いても遅くありません。頼まれていない範囲まで自分の担当を広げると、見える景色が変わります。所属先の可能性を否定する前に、磨けるスキルが残っていないかを点検する順序が現実的です。


編集部おすすめポイント


組織改編の記事は、決まった体制の説明で終わることが多くあります。本編では、なぜその形に変えたのかという判断の背景が各社への取材で掘り下げられ、そこで働くマーケターのキャリアの積み方まで扱われています。


悪魔の事典


書き始め


本編の続きで読めること


ここでご紹介したのは、判断の枠組みにあたる部分です。本編では、次の問いに対する答えが示されています。


  • 顧客中心へ軸足を移した企業は、どのように体制を組み替えたのか

  • うまく回っていた部署を解消する判断は、何を根拠に下されたのか

  • 俯瞰して全体を判断できる担い手には、どのような能力が求められるのか

  • スキルの不足を自覚させる助言は、どのような形で行われるのか


本編は日経クロストレンドの有料会員限定記事です。この記事は特集の導入に当たります。



よくある質問


Q.組織を変えれば顧客起点の判断は進むのでしょうか。

A.組織の形だけでは進みません。企画がどのような根拠で通るのか、承認の順序がどうなっているのかという意思決定の様式が商品起点のままであれば、担当者の意欲は障壁に当たります。変えるのは組織図より先に、通し方の基準です。

 

Q.機能ごとに部署を分けると、かえって分断されませんか。

A.その危険はあります。管理のしやすさと、顧客に届くまでの流れの連続性は両立しません。開発から伝え方までを俯瞰して全体で判断できる担い手をどこに置くかを先に決めておく必要があります。

 

Q.今の会社では成長できないと感じています。転職すべきでしょうか。

A.その判断の前に確かめる点があります。マーケターに求められる範囲は広く、1つの領域を習熟した段階で全体を見終えたと感じるのは早計です。頼まれていない範囲まで担当を広げると、磨けるスキルが見つかることがあります。


執筆者

インサイトフォース編集部

ブランド戦略とマーケティング組織の設計を専門とする編集部が、掲載記事の論点を実務で使える形に整理しています。

掲載情報

媒体

日経クロストレンド

記事

味の素、サントリーに学ぶ「最強マーケ組織」の道 なぜ今変えるのか

掲載形式

特集の導入・コメント掲載

公開範囲

日経クロストレンド有料会員限定


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