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ブランドアイデンティティと出し分けの線引き|一貫性が足かせになる境目

ベイジTVにて、ベイジ代表・枌谷力氏と当社代表取締役・山口義宏の対談動画「ブランディングにおける一貫性と使い分けの原則とは?」が公開されています。

ブランドの原則は体験の一貫性にあります。しかし顧客に触れる接点が増えた結果、すべてを同じ表現でそろえる運用は成果の足かせに変わりました。


この記事の要点


  • 一貫性の原則は、認知が確立していない段階ではとくに重要になります。

  • ルールを崩して成立するのは、認知が浸透しきった後に限られます。

  • 接点が増えた結果、層ごとに出し分けられる状態が既に整っています。

  • 守るべき範囲は最小限にとどめ、施策の試行錯誤を妨げない設計にします。


こんな方におすすめ


  • ブランドのルールと広告の成果がぶつかっていると感じている担当の方

  • 既存ブランドの延長で出すか、別のブランドを立てるかを判断したい方

  • 採用と顧客向けで発信内容が合わず、整理に困っている広報の方


前提となる3つの用語


サブブランドとは


サブブランドとは、既存のブランドの下に位置づけて展開する別の呼び名である。新しいブランドを立てて認知を作り直す負担と、既存ブランドの一貫性を保つ利点の間を取る選択として検討される。


4Pとは


4Pとは、商品、価格、流通、販促の4つの要素からマーケティングを組み立てる枠組みである。とくに流通の要素は売り場の環境を決めるため、同じデザインでも売れ方が変わる原因になる。


ワントゥワンマーケティングとは


ワントゥワンマーケティングとは、顧客を一人ずつ別の相手として扱い、内容を個別に合わせる考え方である。接点が増えたことで、完全な個別化ではないが層ごとの出し分けは実現できる状態になった。


論点の背景


ブランドは体験の一貫性によって形づくられます。その体験には視覚も含まれるため、ロゴの色やレイアウトもそろえたほうがよい、というのが教科書どおりの原則です。この原則自体は変わっていません。

 

変わったのは接点の数です。顧客に触れる場が増えた結果、層ごとに内容を出し分けられる状態が整いました。完全な個別化には届きませんが、それに近いことは既に実行できます。この状況で一貫性を理由に全てをそろえると、機会を失います。

 

ルールを緩めて成立している例もありますが、それは認知が浸透しきった後の段階に限られます。認知のないブランドが同じことをすると、視覚的な一貫性がないために覚えてもらえない状態から抜けられません。先行して型を作った側の運用をそのまま真似ると、順序を飛ばしたことによる不利だけが残ります。

 

もうひとつ考えに入れるのは、勝ち筋の寄せ方です。流行を素早く追い続けるのか、本質を掘り下げて追求するのか。どちらかに寄せないまま全てを包括しようとすると、抽象度の高い概念に落ち着いて誰にも響かなくなります。この選択は手段の比較にとどまらず、担う人や組織の性質とも結びついています。


2025年のインターネット広告費は4兆459億円で構成比50.2パーセントとなり、初めて過半に達しました。接点が細分化した環境では、ひとつの表現で全ての層を狙う設計の不利が大きくなります。 出典:電通「2025年 日本の広告費」(2026年3月5日)

実務での判断軸


1.接点ごとに出し分ける余地を残しているか。 層ごとに内容を変えられる状態が整っているなら、そろえることを目的にする理由はありません。包括した概念として維持する部分を決め、そこから外側は接点ごとの裁量に置く設計が現実的です。

 

2.ルールが施策の足かせになっていないか。 決められた配色と配置の型に文字を入れ替えるだけの運用は、作りやすく管理も楽ですが、見られない状態を招きます。一貫性だけを根拠に表現の型を固定すると、成果の側が犠牲になります。

 

3.新ブランドとサブブランドを認知の獲得費用で比較したか。 少しずらした商品を出すとき、別のブランドにするかどうかは一貫性の原則だけでは決まりません。新しい認知を作る投資額と、既存の一貫性を守る利点を並べて比較する以外に判断の方法はありません。


売り場の環境も判断に入ります。余白の多い簡素なデザインは、周囲に情報量の多い商品が並ぶ売り場では埋もれます。接客がある場や単価の高い場では同じデザインが機能します。流通の要素を抜いてデザインの良否を語ることはできません。


編集部おすすめポイント

一貫性をどこまで守るかという問いに、明確な公式はありません。本編では、支援の現場で繰り返し出てくるこの判断を、具体的な場面に沿って両者が言葉にしています。原則と現実の折り合いをどう付けているかが率直に語られています。


本編で読めること


ここでご紹介したのは、判断の枠組みにあたる部分です。本編では、次の問いに対する答えが示されています。


  • 守るべき範囲を最小限にするとき、何を残すのか

  • 認知が確立する前と後で、ルールの扱いはどう変わるのか

  • 新ブランドとサブブランドの比較は、どの数字で行うのか

  • 売り場の環境は、デザインの判断にどこまで影響するのか


本編はベイジTVで公開されている対談動画です。無料で視聴できます。


よくある質問


Q.一貫性を緩めると、ブランドが崩れないでしょうか。

A.緩めるのではなく、守る範囲を絞ります。包括した概念として維持する部分は残し、そこから外側の表現には接点ごとの裁量を持たせる形です。認知が確立していない段階では、視覚の一貫性は優先度が高いままです。

 

Q.既存ブランドの延長で出すか、別のブランドを立てるか判断できません。

A.新しい認知を作るための投資額と、既存の一貫性を守る利点を並べて比較します。この比較以外に決め手はありません。投資額の規模を把握していないと、判断が感覚に寄ります。

 

Q.採用向けの発信と顧客向けの発信は、そろえるべきでしょうか。

A.そろえきることには無理があります。求職者から見た会社の姿は、顧客から見た姿とは違います。共通のメッセージで全てを束ねようとすると、どちらにも届かない内容になりやすくなります。


悪魔の事典


書き出し


執筆者

インサイトフォース編集部

ブランド戦略とマーケティング組織の設計を専門とする編集部が、掲載記事の論点を実務で使える形に整理しています。


掲載情報

媒体

ベイジTV(YouTube)

記事

ブランディングにおける一貫性と使い分けの原則とは?

公開日

2026年6月24日

掲載形式

対談動画

公開範囲

無料




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