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ブランドとは何か|選ばれる理由を頭の中に置くための3つの判断

NewsPicksのインタビュー(前編)にて、当社代表取締役・山口義宏が、ブランドとは何かという定義から、選ばれる候補に入るための考え方までを語っています。

ブランドの話になると、ロゴの刷新や大きな広告の話が先に出てきます。しかし買う側は、すべての商品を調べて比べているわけではありません。何が決め手になっているのかを、定義から順に整理しました。


この記事の要点


  • ブランドとは、名前や色などの目印と、それを見て思い出される価値が結びついたものです。

  • 買う側は性能を比べ切れないため、頭の中で認識された価値をもとに選んでいます。

  • 選ばれる前に、まず比較の候補に入り、自分向けだと感じてもらう必要があります。

  • ロゴの変更や大きな広告は手段の一つで、目的に合うときだけ使えば足ります。


こんな方におすすめ


  • ブランドの取り組みが、ロゴや広告の話にすり替わりがちだと感じている方

  • 名前は知られているのに、比較の候補に入れていないと感じている事業責任者の方

  • 業界二番手以下の立場で、何で差をつけるかを決めかねているマーケティング担当の方


前提となる3つの用語

マス広告とは


マス広告とは、テレビ、新聞、雑誌、ラジオといった、大勢に一度に届く媒体に出す広告のことである。短い期間で多くの人に知ってもらえる反面、費用が大きく、使うかどうかは目的次第で決まる。


自分ごと化とは


自分ごと化とは、受け手が情報を自分に関係のある話だと受け止める状態のことである。名前を知られていても、自分向けではないと判断されれば、比較の候補には入らない。


企業理念とは


企業理念とは、その会社が何のために存在し、何を大切にするかを言葉にしたものである。社内の判断の拠り所になる。目指す価値と合っていれば、書き換える必要はない。


論点の背景


家電や車を買うとき、仕様を一つずつ読み比べて決める人は多くありません。技術が絡む商品ほど、違いを自分で判断できないからです。そのとき決め手になるのは、事実そのものではなく、頭の中で認識されている価値のほうです。

 

ブランドは、この認識された価値と、それを呼び起こす目印が結びついたものと捉えると扱いやすくなります。目印はロゴや色、音などで、価値は「あの店なら安くて楽しい」のように思い出される中身です。高級であることは、価値の一つの形にすぎません。

 

ただし、思い出してもらう前の段階があります。買う側はいきなり一つに決めず、まず候補を絞ります。名前を知られていても、自分には関係ないと受け流されれば、候補の外に置かれたままです。

 

候補の内側で見ると、買う側は三つの層に分かれます。知らない層、知っているが良い印象を持っていない層、知っていて良い印象を持っている層です。最後の層を取り尽くすと、成長は踊り場に入ります。その先は、残る二つの層の認識を変えられるかどうかで決まります。


消費者庁の調査では、電化製品を買うときに気にする項目として「ブランド、企業名」を挙げた人が66.0パーセントいました。「品質・機能」の83.8パーセント、「価格、維持費」の81.8パーセントに続く3番目の高さです。仕様を比べる商品でも、名前が判断の材料になっています。 出典:消費者庁「令和6年度消費者意識基本調査」(令和7年6月13日公表)

実務での判断軸


1.目印より先に、思い出してほしい価値を決めているか。 ロゴや色の話から始めると、何を思い出してほしいのかが後回しになります。先に決めるのは価値の側で、目印はそれを呼び起こす道具です。いまの目印が目指す価値に合っているなら、変える必要はありません。

 

2.自分向けだと感じてほしい相手を、絞り込めているか。 誰にでも向けた言い方は、誰にも自分の話だと受け止められません。候補に入るための条件は、知られていることと、関係があると感じてもらえることの二つです。後者は、相手を絞るほど満たしやすくなります。

 

3.自社の立ち位置に合った打ち手を選んでいるか。 市場で首位と見なされている側と、二番手以下の側では、取るべき手が逆になります。追う側が首位と同じ価値を掲げても、あえて選ぶ理由が生まれません。追う側は首位にない価値を示し、首位の側はその差を取り込んで無効にする。この非対称を前提に計画を立ててください。


3つとも、何を使うかではなく、何を思い出してほしいかから逆算する点が共通しています。ロゴの変更も大きな広告も、その逆算の結果として必要になったときに初めて選ぶ手段です。手段から入ると、費用をかけても候補に入れないまま終わります。


編集部おすすめポイント


この掲載は、ブランドを高級さや見た目の話から切り離し、選ばれる仕組みとして定義し直している点が特徴です。広告に投資する側は、施策に触れた人に手応えが出ているかを厳しく問うべきだという指摘は、予算を説明する場でそのまま使えます。


悪魔の事典


書き出し



本編の続きで読めること


ここでご紹介したのは、判断の枠組みにあたる部分です。本編では、次の問いに対する答えが示されています。


  • ブランドの定義を、なぜ二つの要素に分けて考えるのか

  • 比較の候補に入るために、知られていることのほかに何が要るのか

  • 首位の企業と二番手以下の企業で、打ち手はどう変わるのか

  • 成長の踊り場を越えるには、どの層の認識を変えればよいのか


本編はNewsPicksの会員向け記事です。無料で読めるのは冒頭の部分までになります。


よくあるご質問


Q.ブランドとは、高級な商品のことではないのですか。

A.高級さは価値の一つの形にすぎません。安くて楽しいという印象が思い出されるなら、それも立派なブランドです。大切なのは、目印を見たときにどんな価値が思い出されるかです。

 

Q.ブランドの取り組みには、ロゴの変更や大きな広告が必要ですか。

A.必須ではありません。目指す価値に合っていない場合に変えればよく、合っていればそのままで構いません。大きな広告も、短い期間で知ってもらう必要があるときに選ぶ手段の一つです。

 

Q.効果はすぐには出ないものではないのですか。

A.全国に広く浸透させるには、時間も費用もかかります。ただし、施策に触れた人の反応には一定の手応えが出るはずです。触れた人の購買に変化があるかを確かめることが、判断の基準になります。


執筆者

インサイトフォース編集部

ブランド戦略とマーケティング組織の設計を専門とする編集部が、掲載記事の論点を実務で使える形に整理しています。

掲載情報

媒体

NewsPicks

記事

【解説】広告だけではない。プロが語る「ブランド戦略」の基礎

掲載形式

インタビュー(当社代表が語り手・前編)

掲載日

2019年11月21日

公開範囲

NewsPicks会員向け(冒頭のみ無料)


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